著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

MLBで「ピッチクロック」導入の背景…3時間中プレー時間20分じゃ時短は当然

公開日: 更新日:

 だが、スマートフォンで場所を問わず動画を視聴し、見たい場面だけ見るのが当たり前となった現在、3時間以上にわたって視聴者を試合の中継に引き付けるのは容易ではない。

 公式戦はもとよりオールスター戦やワールドシリーズでも視聴率が振るわない理由のひとつに、長すぎる試合時間に視聴者が耐えられなくなっていることが挙げられる。

 しかも3時間を超える試合時間のうち、実際にプレーが行われている時間は20分に満たない。そうなると、投手が投げるたびに打者や守備陣の様子を映し出したり、前の投球を振り返る映像を流すことになり、視聴者は2時間50分近くにわたって試合の進行とは直接関係のない映像を見ることになる。

 これでは、限られた時間を最大限活用しようとする視聴者、特に90年代後半から2010年までに生まれたいわゆるZ世代をつなぎとめるのは困難だ。

 現在は高額の放映権料を支払っているテレビ局側も、これからの米国社会の中核となるZ世代から敬遠される大リーグの公式戦を放送する積極的な目的を見いだしにくくなる。このままでは、今後新たな契約を締結する際には、期間の短縮や契約金額の減額など、球界の基礎を脅かすことになりかねない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性