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佐々木裕介フットボールツーリズム アドバイザー

1977年生まれ、東京都世田谷区出身。旅行事業を営みながらフリーランスライターとしてアジアのフットボールシーンを中心に執筆活動を行う。「フットボール求道人」を自称。

インドネシア代表アルハン(東京V)はASEANの新しいアイコンになりうる

公開日: 更新日:

日本の世界競争力ランクは過去最低の35位

 スイスに拠点を置くビジネススクール・国際経営開発研究所(以下IMD) が発表した「世界競争力ランキング2023」によれば、日本は前回順位から1ランク落とした35位。過去最低記録を更新したという。

 アジア太平洋地域での1位はシンガポール(総合4位)で台湾(総合6位)、香港(総合7位)と続く。さらに日本より上位にはマレーシア、タイ、インドネシアと新興国が名を連ねている。

 日本の競争力の凋落ぶりが顕著に見て取れる反面、ASEAN諸国の勢いを感じられる。

 人口でタイの4倍、ベトナムの約3倍にも及ぶ、2億8000万人が織り成すインドネシアの底力。ならば優位性を持つ蹴球的パワーバランスを用いて、彼らASEAN諸国の経済発展に便乗し共存共栄する方法だって悪くはない話だと思うのだが。 

 なぜ、真剣に蹴球外交を行うJクラブは少ないのだろうか。アルハンが所属する東京ヴェルディもタイとインドネシアへアジア展開していると聞くが、これといった成果は見えてこない。強いて上げるならば、アルハンのインフルエンス力のお陰で、ヴェルディという名前がインドネシア国内で拡散されたことだろうか。

 そのかたわらで、ASEAN市場で着実に基盤構築を図っているJクラブも存在する。

 最近では、女子インドネシア代表のスター選手、ザーラを獲得(今季WEリーグでプレー)したセレッソ大阪は、彼女の出身クラブであり、強固な政治力を要するアシアナサッカースクールとのパートナーシップを締結した。

 スポンサー主導の案件だったことは想像できるが、開拓への本気度が伝わってくる。反面、アルハンというビッグツールを手にしていながら、地盤固めに右往左往する名門クラブの姿が残念でならない。
 
■アルハンの推進力はまだ伸びしろがある
 
「結果は残念でしたが、J1クラブ相手に素晴らしい試合が出来たと思いますし、チームにとっても私にとっても良い経験になりました。ここまで試合に出られるチャンスがあまりなかった中で、今日はチャンスをもらえました。精一杯自分の武器やできることを頑張りたいと思って臨みましたし、これからもチャンスをもらえればもっとアピールできるように頑張りたいとも思っています」 

 東京ダービー(天皇杯3回戦・FC東京戦)の試合後、アルハンはそう話してくれた。

 彼の心情としては、チャンスさえもらえれば俺にだってできるんだ、と言わんばかりに、終始表情を崩さない強気の意思表示だったと筆者には感じ取れた。

 規律を重んじる環境下でプレーする上で、守備にまわった状況での動きや位置取りに不安を感じることが多いことは否めないが、彼の長所である推進力にはまだ伸びしろを感じられ、出場機会さえ得られれば成長できるだろう。

 久しぶりに見たアルハンは胸板が厚くなり、以前よりも身体がひと回り大きくなったように見えた。アルハンと東京ヴェルディとの契約は今季までと聞いている。

 このままJリーグで旋風を巻き起こせずに去ってしまうのか。それとも新たな定住地との縁を手繰り寄せ、日本での冒険を続けるのか。はたまたアルハンと彼を取り巻く環境へ投資するJクラブは出てくるのだろうか。筆者は変わらず、彼の動向を注視し続けるつもりでいる。

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