世界各国にこれだけの「サッカー女子代表はつらいよ」…男子のクレージーさとは全く別物

公開日: 更新日:

 ボンジーア! みなさん、お久しぶり! ブラジルのリカルドです。

 昨年のカタールW杯では現地からクレージーなネタをお伝えしたけど、覚えてくれているかな? さて、今月20日から今度は女子のW杯がオーストラリアとニュージーランドで開催される。もちろんボクも現地に飛ぶよ。なんてったってW杯はいつもクレージー。行かないわけにはいかないだろ? ただ、男子のクレージーさと女子のそれとは全く別物なんだ。 (文=リカルド・セティオン、訳=利根川晶子)

 女子のW杯はこれで9回目になるけど、今回は最も大掛かりなイベントになりそうだ。参加国はなんと史上最多の32(前回は24、2011年までは16)。そして賞金も前回19年大会の3000万ドル(約43億円)から1億1000万ドル(約158億円)と3倍になった。

 27年までには全てを男子W杯並みに! ってFIFAのインファンティーノ会長は意気込んでいる。19年大会はこれまでで最高の視聴率だったし、21-22シーズンの欧州女子CL準々決勝のバルセロナ対Rマドリードの女子エル・クラシコなんて9万人がスタジアムを埋め尽くした。今シーズンの同トーナメント後半は毎試合満員御礼だったんだ。

「よし、これはいけるぞ」とFIFAは思っただろうね。男女の格差をなくす。もちろんそれはすごくいいことだ。だけど、フタを開けてみると、世界の女子サッカーの現状はFIFAが思うほど発展してはいなかった。男子ではあり得ない問題があちこちから噴き出してきたんだ。

 例えば日本の直接の対戦相手でもあるスペイン。2年連続バロンドールを獲得しているアレクシア・プテジャスもいる強敵だけど、当初スペインからは15人のレギュラー選手がW杯に出場しないと表明したんだ。理由は男性監督が女性をリスペクトしないから。パワハラがあって心身の健康を害した選手もいたらしい。監督解任を求めて協会に直訴したけど聞いてもらえなかった。

 東京五輪優勝国のカナダも、以前から女子にかける資金不足と不当な扱いを協会に抗議していた。2月に行われたシーブリーズカップでは「要求が受け入れられないなら大会には出ない」って宣言したんだけど、サッカー協会が「出場しなければ訴える」と脅して強制的に出場させた。彼女たちは大会で「もうたくさん!(enough is enough)」って書いたシャツを着て抗議をしていたよ。そんな女子選手の主張を男子選手も支持し、国会で論議された後、やっと6月に男女同等の扱いが認められたんだ。

 ジャマイカの事態はより深刻だ。「レゲエガールズ」って呼ばれる彼女たちにはW杯出場に必要なカネが足りない。開催地までの渡航費や宿泊費はFIFA持ちだけど、例えば合宿や食費などは自国持ち。でも協会が十分な費用を出してくれないんだ。そこで選手の母親たちが中心になってクラウドファンディングを始めた。目標額は10万ドル(約1440万円)だけど、今のところはまだ半分しか集まっていないみたいだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発