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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

ドジャースは大谷翔平に788億円の条件提示? メジャー年俸高騰の裏に経営環境の劇的改善

公開日: 更新日:

■ぜいたく税の支払い以上のメリット

 大リーグでは毎年、所定の年俸総額を超えると、その超過金額に応じて追加の負担金が科せられる、ぜいたく税の制度がある。しかし、ぜいたく税の支払いよりも有力選手の獲得がもたらす経営上の利点の方が大きいと判断されれば、各球団は躊躇なく選手を入団させる。

 加えて、球場の債務返済分を控除した後の30球団の収入が22年に過去最高の103億ドル(約1兆5600億円)を達成するなど、大リーグを取り巻く経営環境の良好さは見逃すことができない。

 コロナ禍の影響を受けた無観客での公式戦の実施(20年)や観客数の制限(21年)を考えれば、種々の制約なしに観客を受け入れられた22年に入場券販売やスイートやクラブシートなどのいわゆるプレミアム座席の売り上げが大幅な伸びを実現した。

 そして、今季は17年以来6年ぶりに大リーグ全体の来場者数が7000万人台に回復するなど、各球団の経営陣にとっては選手の補強に、より一層の資金を投入するための原資に厚みが増す条件が整っている。

 このように、近年ますます進む大リーグの年俸高騰は、経営者たちの置かれた状況の良さが大きく影響しているのである。

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