つり名人・若浪が語った技の極意「(相手は)大きいならいくら大きくてもいい」

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昨今は怪力任せの「クレーン型」ばかり

 先代霧島は両まわしを引きつけ、上体を反らせて真っすぐ前に運んだ。師匠の井筒親方(元関脇鶴ケ嶺)は腰を痛めないかと心配していたが、強い肉体をつくり、千代の富士をはじめとするスピード化にも対抗して、動きながらつり上げる相撲も取った。

 他にも昭和の時代から明武谷、陸奥嵐、玉の海(横綱)……といったつり名人たちが観客を沸かせてきたが、昨今は栃ノ心のような怪力任せの「クレーン型」が多く、技の妙味は薄れたように思う。

 今の霧島は幕内196勝のうち、つり出しはまだ2勝しかない。歴代名人のような技を追う前に、まずは相手の出足をがっちり受け止め、寄り切る型を自分のものにすることが、「綱」をつり上げる王道だろう。(記録は不戦勝と勇み足を除く)

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

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