著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

MLBで「ロボット審判」の導入が遅れている本当の理由…賭博が絡む構造的問題の根は深い

公開日: 更新日:

 現在の大リーグ機構が進める施策の一つに、収入源の多角化と収益力の向上がある。

 この事実は、今年5月にコミッショナーのロブ・マンフレッドが大リーグにおける、いわゆるロボット審判の導入の時期を、当初予定していた2025年ではなく26年以降に延期する方針を示唆した意味を理解するために重要だ。

 機構が将来の大リーグへの導入に備え、独立リーグと提携して試験的にロボット審判を採用したのは2019年のことだった。これは、連邦最高裁が連邦法によるスポーツ賭博の禁止を解除することを決定した翌年に当たる。

 1919年のワールドシリーズで起きたブラックソックス事件によって信用を失墜させた球界は、1989年に野球賭博を行ったことが明らかになったピート・ローズを永久追放にするなど、賭博に対し厳格な態度で臨んできた。連邦法がスポーツ賭博を違憲としたことは、機構の政策を後押しするものでもあった。

 しかし、スポーツ賭博が全国的に解禁された以上、他のプロスポーツが賭博の対象となることを解禁した場合、従来の方針を維持することは大リーグだけが取り残されることを意味する。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手