著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

MLBで「ロボット審判」の導入が遅れている本当の理由…賭博が絡む構造的問題の根は深い

公開日: 更新日:

 誤審も野球の一部であるというこれまでの態度を変更。判定に際してより誤りが少ないと思われる方法を導入することは、野球から誤審という偶然の要素を排除し、より公平に試合が運営されていることを担保して賭けの対象としての魅力を高めるためにも重要な措置だった。

 そして、自動的に判定する場合に人間よりも優れた結果を残すことが出来なければ、判定の置き換えを正当化することができず、直接の影響を受ける選手たちの理解も得られない。

 何より、当初は2024年からの導入が掲げられていたにもかかわらず、さらに延期することになるのだから、ロボット審判が抱える構造的な問題の根深さが分かる。

 拙速と巧遅のいずれを選ぶかと問われれば、多くの場合、前者を選んできたのがマンフレッドである。

 だが、不完全な仕組みを導入して賭博の対象としての野球の公平性が疑われるようになれば、ロボット審判の早期導入で得られる利益よりも損害が上回ることになりかねない。

 それだけに、ロボット審判の精度が向上すれば、機構は躊躇なく新制度導入に動くだろう。

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