長嶋茂雄さんの「おカネの話」で思い出すバクチの一幕…巨人のスーパースターはやっぱり違った

公開日: 更新日:

「ウーム……元気だったか」

 と言いながら長嶋さんは、僕の顔を見ながら誰だったか必死に思い出そうとしているようだった。

 僕が「古賀ですよ」と言うと、長嶋監督はさも初めから分かっていたと言わんばかりにこう言ったのである。

「そうそう、そうだよな、古賀なんだよな」

 長嶋監督と別れてロッカールームに戻るとき、王監督は、

「ミスター、名前を思い出せなかったみたいだな」

 とクスッと笑ったものだった。

 その試合、二回にダイエーが5点を先行したが、松井秀の本塁打などで追い上げられ、何とか2点差で逃げ切った。僕のヘッドコーチとしての最初の試合であり、長嶋監督の昔と少しも変わらないおおらかさを見たこともあり、今でも強く印象に残っている。

▽こが・ひでひこ 1939年、熊本県生まれ。熊本工、近大を経て62年に巨人入団。米マイナーやベネズエラなど海外でもプレーし、引退後は大洋、ダイエー、南海ロッテなどで指導。90年には米マイナーで日本人初の監督に就任。04年からロッテ二軍監督を務め、09年オフに退団。その後も米国を拠点に野球指導に携わる。

  ◇  ◇  ◇

 
 当連載【プレイバック「私が見た長嶋茂雄」】は随時公開。次回は、長嶋さんが立大時代の一茂氏の「学生らしからぬ行為」にブチ切れた珍エピソードについて。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  3. 3

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」

  5. 10

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも