長嶋茂雄さんの「おカネの話」で思い出すバクチの一幕…巨人のスーパースターはやっぱり違った
と僕に1000円札の束をガバッと渡すと食堂車に行ってしまう。当時の大学初任給が3万円といわれていた時代だ。でもアッという間に負けてしまう。
「長嶋さん、なくなりました」
食堂車に行き長嶋さんを見つけてこう言うと、またガバッと1000円札を渡してくれる。
フロリダでもそうだったが、長嶋さんは金銭に淡泊というか、物事にこだわらない。さすがに巨人のスーパースターは違うな、と思ったものだった。
そんな長嶋さんと久しぶりに再会したのは、僕がダイエーのヘッドコーチに昇進した年(1997年)、2月28日の巨人とのオープン戦のときだった。長嶋さんは2度目の巨人監督に復帰していた。その試合前だ。
「チョーさんのところに行こう」
と王監督が僕を、練習を見守る長嶋監督のところへ連れて行ってくれた。フロリダで会った後も巨人のOB会で何度か顔を合わせていた。それでも会うのは十何年ぶりだったと思う。
「ミスター、ハイディ(古賀氏の愛称)ですよ、昔チームメートだった。今、僕のチームでヘッドコーチをやってるんですよ。懐かしいでしょう」