長嶋茂雄さんが鼻息荒げた1995年宮崎秋季キャンプは吐くほどキツかった
2006年掲載 石毛博史氏による「マウンドから見たプロ野球 勝利の方程式」(第6回)を再公開
“燃える男”、“ミスター”の愛称で国民的人気を誇ったプロ野球元巨人監督の長嶋茂雄さんが6月3日、都内の病院で肺炎のために亡くなった。享年89。選手、監督として数々の伝説、逸話を残した「ミスタープロ野球」は、身近に接した誰もにそれぞれの「長嶋茂雄像」を強く印象づけてもいる。日刊ゲンダイの連載で多くの球界OBが語ってきたその実像を再構成して緊急公開します。
今回は巨人や近鉄で通算375試合に登板した石毛博史氏による「マウンドから見たプロ野球 勝利の方程式」の第6回(2006年掲載)を再公開(本文中の年齢・肩書きなどは当時のまま)。
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今年もいよいよキャンプが始まった。キャンプで一番思い出に残っているのは、95年の宮崎秋季キャンプだ。なにしろ、長嶋監督から“1000本ノック”を受けたのだから……。
「おいっ、飛び込め!」
ファーストからピッチャーマウンドを横切りサードへ走りながらゴロを捕る。休む間もなく、次はサードからファーストへ……。これをただひたすら繰り返す。ノックする長嶋監督もヒートアップしてきて、声のトーンもどんどん上がる。