父親やコーチの過干渉は子供を潰す。僕が少年時代、強烈に意識した“怪物”はその後…
僕の父は学生時代、陸上のやり投げ、母はソフトボールの選手。肩の強さは父から、野球センスは母から受け継いだ。
「おとん、キャッチボールやってくれへん?」と頼んだり、庭でティー打撃をやる時は、父がトスを上げてくれた。僕が望んだ時は、面倒くさそうな顔をしながらも付き合ってくれた。「もう勘弁してくれ」と言われるくらいがちょうどいい。親に練習を強制されたことは一度もない。それでいて、僕の気持ちを最優先に、こんなことを言う時があった。
「日曜の授業参観? そんなもん行かんでええ。野球の方が大切やろ?」
PL学園の寮生活がしんど過ぎて、1週間で「退部して帰りたい」と泣きついた時、「自分でPL進学を決めたんやから最後までやり通せ! 帰ってくんな!」と電話を切られた。あの時、厳しく突き放されていなかったら、野球をやめていた。スパルタではないが、時に厳しく、バランスの良かった父に、僕は頭が上がらない。