長嶋茂雄さんは正々堂々勝負することにこだわった。「捨てゲーム」という概念すらなかったと思う

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元巨人寮長の樋沢良信氏による「寮長が見た巨人軍」(第11回=2011年)を再公開

 “燃える男”、“ミスター”の愛称で国民的人気を誇ったプロ野球巨人監督の長嶋茂雄さんが6月3日、都内の病院で肺炎のために亡くなった。享年89。選手、監督として数々の伝説、逸話を残した「ミスタープロ野球」は、身近に接した者すべてにそれぞれの「長嶋茂雄像」を強く印象づけてもいる。日刊ゲンダイ連載で多くの球界OBが語ってきたその実像を再構成して緊急公開する。

 今回は巨人での現役引退後はスカウトやチーフスコアラー、寮長などを歴任した樋沢良信氏による「寮長が見た巨人軍」(第11回=2011年)を再公開。本文中の年齢・肩書きなどは当時のまま。

  ◇  ◇  ◇

 長嶋茂雄さんに怒鳴られたことがある。

 あれは、99年だったか2000年だったか。試合後に、投手コーチの水野雄仁(現野球評論家)が「樋沢さん、監督が呼んでいます。監督室に来い! って。ボクも一緒なんですけど、なんか悪いことしたんですか、樋沢さん?」と声をかけてきた。当時、私はチーフスコアラーだった。「バカヤロー、オレがするわけないだろ。悪いことするのはだいたいおまえじゃないか」と2人で言い合いながら監督室に向かうと、ノックをして扉を開けた瞬間、いきなり怒声が降ってきた。

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