(2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い
「就任1年目はコーチを品定めしていた」
「チームが勝つため、自分自身が目指す野球を実現するため、藤川監督はあえて鬼になったんです」とは、コーチ経験のある球団OBだ。
「昨オフの就任時にヘッドコーチの招聘がかなわず、藤川監督に権限が集中する形に。藤本敦史総合コーチが作戦参謀になり、小谷野栄一打撃チーフコーチが打者、安藤優也投手チーフコーチ、野村克則バッテリーコーチが投手、捕手のバッテリー部門を取りまとめた。が、基本的に投手、野手の起用や作戦に関しては藤川監督が主導している。
特に、就任当初から目を光らせていたのがコーチの指導力の有無。練習、試合で少しでも選手が気が緩んだプレーをすると担当コーチを一喝。メジャー経験がある藤川監督はナイターの翌日でも朝から監督室にこもってデータと睨めっこ。データに即した起用、健康管理に加えて、攻撃、守備の作戦を遂行した。故障者や選手登録情報についても他言無用とするなど、チームの決まりごとを順守できないコーチに対して厳しく注意したこともある。
とはいえ、大半のコーチは年上であり、藤川監督は指導者経験はゼロでの就任。優勝したからまだしも、当初は『無理難題が多すぎる。さすがに高望みしすぎやろ』『なぜ、そこまで偉そうに言われなきゃいけないんだ?』などと、イライラを募らせるコーチがいたのも確かです」
時にコーチ陣との軋轢が生じながら、2位以下に大差をつけての独走優勝を果たしたわけだが、球団周辺では「このオフ、コーチのテコ入れが行われるのではないか」との声が聞かれる。
ある球界関係者は「今季は就任1年目とあってコーチを品定めしていましたからね」と、こう続ける。
「すでに指揮官のお眼鏡にかなうコーチ、かなわないコーチの選別は終えているともっぱらです。球界では一般的に優勝翌年はコーチ陣も続投するケースが多いものの、藤川監督は来季、球団史上初のリーグ連覇を見据えている。お眼鏡にかなわなかったコーチがこのオフ、交代する可能性はあります」
では、どの部門がテコ入れされそうか。
「平田勝男二軍監督は今季限りで契約が満了するとみられています。藤川監督は今春キャンプでの紅白戦後、平田二軍監督に直接、指導に関して注文をつけるなど、そもそも2人は指導の手法からして異なる。一、二軍の選手の入れ替えは藤川監督主導で行われてきた面があり、指揮官が重視するデータや数字に精通、分析力に長けた人物、故障を未然に防ぐべく、コンディション管理を徹底できる人物であることが望ましい。
二軍監督を巡っては昨オフ、大物OBの赤星憲広氏や鳥谷敬氏らの名前が浮上したものの、メジャー経験者の外部招聘や、現役時代の名前や実績にとらわれないスコアラー経験者などが抜擢されても不思議ではありません」(前出の球界関係者)
昨オフ、3年契約を結んだ藤川監督は、7日の優勝決定時のお立ち台で「この役割がある限りは全うする」と、来季に向けて強い決意をのぞかせた。連覇を達成するためにはチームの進化が不可欠。はたして「内閣改造」は断行されるのか、首脳陣は固唾をのんで見守っている。 (つづく)