師弟関係の"誤情報"も…「俺はあのコーチが大嫌いだった。技術指導をしてもらったこともない」
10月14日、選手全員を西宮球場の会議室に招集。四つ折りにした便箋を投票用紙にして選手一人ひとりに渡す。そしてこう告げた。
「俺のやり方について行く者は○、嫌だという者は×を書いてくれ」--「監督信任投票事件」である。
監督の突然の申し出に選手たちの多くが戸惑った。球団マネージャーが全員の用紙を回収し、開票が行われる。結果は、ほとんどが○だったが、×が7人、白紙が4人いた。これを目にした西本は、「これから監督を続けていく自信がなくなった。辞めさせてもらいたい」と、全員の前で辞意を表明した。
驚いたのは球団経営陣である。岡野祐球団社長は、翌15日に西本を『新阪急ホテル』に呼んで経緯を聞き、慰留に努める。しかし、西本の辞意は固く、容易に首を縦に振らない。16日、小林米三オーナーが「阪急の監督はお前をおいて他はない」と説得したことで、ついに翻意し、辞意を撤回。24日からの秋季練習の指揮を執ることになった。
この「監督信任投票事件」について実際に現場で投票した森本が振り返る。
(ノンフィクションライター中村素至)




















