「堀内恒夫は怖さはないけど巧かった」1967年巨人との日本シリーズの思い出
「俺が中日で現役を引退して、名古屋でスナックを経営していた頃、歩いて5分ぐらいのところで早瀬さんが焼鳥屋をやっていてね。何度か店に行ったよ」
店内には現役時代の写真パネルが何枚か飾られていた。その中の1枚は、この試合、満塁のチャンスで堀内から三振を喫したシーンだった。名古屋在住の元スポーツ紙記者によれば「お客さんにあの場面での三振の話ばかりされるので、もういっそのこと飾ってしまえ、となったらしい」とのことである。
堀内は1-0で完封勝ち。森本は四回にレフト前ヒットを打っている。
「堀内は巧かったよ。スピンの効いた速球と、大きく曲がる縦のカーブとのコンビネーション。怖さはなかったけどね」
唯一の収穫は堀内と投げ合った先発・足立光宏が1失点で完投したことだった。この試合、七回に代打・石川進がセンター前ヒットを打ち、代走に斉藤喜が出る。次打者の投手・足立のバントの構えにつられて斉藤は二塁に走り、アウトになった。試合終了後、西本監督は「若さを露呈してしまった」とコメントを残している。シリーズの大舞台で経験を積み、平常心で戦う巨人と、リーグ初優勝の荒削りな阪急とでは心理面でも大きな差があった。斉藤は森本と一緒に「西本道場」で打撃練習に励んだ間柄。


















