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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

“錦織引退騒動”のマッチポンプで露呈した問題点 誤報に踊った日本メディアの情けなさ

公開日: 更新日:

 この大会はかつて錦織も優勝し、10年前に地元の女性慈善家がスポンサーに。正式には「エリザベス・ムーア・サラソタオープン」で、会場が今回から、錦織が育ったIMGスポーツアカデミーに移った。この拠点にはケイニシコリ・コートもあり、推薦枠提供は自然の流れだ。

 引退発言をしたのが「大会ディレクター」のムーア女史、否定したのがIMGのマネジャー──コミュニケーション不足か意図的か、マッチポンプの話題づくりを疑われても仕方ないだろう。

 問題は「著名なテニス記者」を根拠に踊った日本のメディアだ。ポルトガルに「ジョゼ」はいても「ホセ」はいない。それはともかく、2年前のジャパンオープンでATPのCEOはこう話していた。

「現場からテニスライターは減り、インフルエンサーが増えた」

 スポーツライターはテニスの発展に大きく寄与した。バド・コリンズ、リチャード・エバンス、クリス・クレアリー、トム・テバット……物知りで雄弁な書き手に、大会は記者席を用意し、会見を義務化し、プレスルームを整え、メディアとの共同で比類なき世界ツアーは築かれた。時は流れてベテラン記者は消え、ネット時代に登場したのが個人権益を追求するインフルエンサーだ。

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