プロ通算1450試合出場も 引退後はタクシー運転手、寮の管理人…バブル崩壊で流転人生が始まった
紆余曲折を経て、現在の森本は名古屋市郊外の見晴らしのよい高台の住宅で悠々自適の生活を送っている。
現役時代のトロフィーや記念品の類は一切残っていない。
「引退してから、10回ぐらいは引っ越したからね。トロフィーなんかその度に壊れていくんだ。持っていても仕方ない」
形あるものは必ず壊れる──そんな無常観が森本の言葉から感じられた。
何十着もあったジャケットやスーツなどの服も、趣味だったクラシックやジャズのレコードもすべて処分した。
「終活の一環」と言うが、きれいに片付けられた室内、ベランダの鑑賞植物の配置など、お洒落な森本らしくまとめられていた。
毎日の晩酌と愛猫との穏やかな暮らし。現役時代のギラギラした「グラウンドの勝負師」の面影はなく、まるで悟りを開いた仙人のようだった。
(中村素至/ノンフィクションライター)



















