「これからの中国ビジネスがよくわかる本」村尾龍雄著
■中国のいま
「あつかいにくい大国」とよばれる中国。果たしてどう向き合えばいいのか。
■ビジネス法務の現場でわかった中国社会の事情
弁護士・税理士として中国ビジネス20年弱になる著者。いわゆる「改革・開放」時代をビジネス法務の現場からつぶさに目撃してきた人だけに、タテマエではなく正味の説明が本書の持ち味になっている。
たとえば日本では法律の下に政令や省令が厳然と上下関係で位置づけられているが、中国では法律、行政法規、部門規制、司法解釈などがバラバラに「政策実現のための課題」に影響をおよぼす(または、およぼそうとする)。一党独裁の国だけに「党の政策に符合する限り、共産党支配下の誰が法規範化を図ってもいいじゃないか、という考え方」なのだ。
要はコネやその時々の政治力が大いに幅を利かすということである。それだけに本気で対中ビジネスを考えるなら中国文化に精通した幹部を育成すると同時に本社の役員も現場に通じるように工夫することが肝心。