話題作「相互確証破壊」の著者・石持浅海氏に聞く

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 エロチックな表紙に、スパイ小説のような硬派なタイトル。帯には「前戯」「絶頂」の文字も躍る。一風変わったこの本、実は“官能と推理のコラボレーション”という、なんとも不思議な作品だ。濃密な官能シーンで本能を刺激されるも、仕掛けられた謎には理性が働く。脳と股間を熱く揺さぶる話題作だ。

 相反するモノの組み合わせには、想定外の化学反応が起こる。この短編集も「エロスとロジックのまさかの融合」で、独特の読後感がある。

「官能もミステリーも基本的には読者が安心して読めることが前提なのですが、合わさるとなぜか安心しないんですよね。物語自体は理詰めで進むも、ベッドシーンでの絶頂時には理性が吹き飛び、行為の後には再び理性に戻るという流れを作りました。その不協和音を楽しんでもらえれば」

 読み手は冷静さを保ちつつ、興奮をも呼びさまされ、ムラムラとモヤモヤにさいなまれることに。6編の物語のうち、3つは不倫関係にある男女のリアルな性描写を描いている。

「官能は男性のファンタジーですが、現実的にはそんなに都合よく美女と仲良くなることはありませんからね(笑い)。ミステリーとして成立させるためにも、日常にいかにもありそうな男女関係を選びました。さらに自分の頭で考え、自分の責任で判断する大人の女性を描きたかったんです。ある意味、登場する女性が怖くなっちゃったという側面はありますが」

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