話題作「相互確証破壊」の著者・石持浅海氏に聞く

公開日: 更新日:

 エロチックな表紙に、スパイ小説のような硬派なタイトル。帯には「前戯」「絶頂」の文字も躍る。一風変わったこの本、実は“官能と推理のコラボレーション”という、なんとも不思議な作品だ。濃密な官能シーンで本能を刺激されるも、仕掛けられた謎には理性が働く。脳と股間を熱く揺さぶる話題作だ。

 相反するモノの組み合わせには、想定外の化学反応が起こる。この短編集も「エロスとロジックのまさかの融合」で、独特の読後感がある。

「官能もミステリーも基本的には読者が安心して読めることが前提なのですが、合わさるとなぜか安心しないんですよね。物語自体は理詰めで進むも、ベッドシーンでの絶頂時には理性が吹き飛び、行為の後には再び理性に戻るという流れを作りました。その不協和音を楽しんでもらえれば」

 読み手は冷静さを保ちつつ、興奮をも呼びさまされ、ムラムラとモヤモヤにさいなまれることに。6編の物語のうち、3つは不倫関係にある男女のリアルな性描写を描いている。

「官能は男性のファンタジーですが、現実的にはそんなに都合よく美女と仲良くなることはありませんからね(笑い)。ミステリーとして成立させるためにも、日常にいかにもありそうな男女関係を選びました。さらに自分の頭で考え、自分の責任で判断する大人の女性を描きたかったんです。ある意味、登場する女性が怖くなっちゃったという側面はありますが」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因