話題作「相互確証破壊」の著者・石持浅海氏に聞く

公開日: 更新日:

 淫靡さに拍車をかけるのは、語り手がすべて女性という点だ。女性の視点で描かれる快楽から絶頂への過程が生々しい。

「僕は男だから実際に女性の絶頂感がどういうものかわかりませんから、多少の期待は入っています(笑い)。男性読者を意識して書いたので“官能小説にお約束の絶頂感”もある程度は書いているんですけどね」

 唇や舌が発する卑猥な音、湿り気と熱を帯びた股間など、女性の性的衝動や生態描写はかなり扇情的だ。女性読者が納得のいく官能シーンも多い。

「官能という毛布をかけてはいますが、“女性の自分探しの物語”という見方もできるかもしれません。読んだ方からは『会社員は不倫しかしていないのか?』なんて言われましたけれど(笑い)」

 そもそも、なぜ官能とミステリーをコラボすることになったのか。

「単純に依頼なんです。もともと作中に官能シーンを厚めに描くことがあり、それに反応した編集者が依頼してきたというわけ。ただ、官能×推理だけでなく、それぞれにもうひとつお題があって。“鉄道”とか“歌謡曲”とかね。三題ばなしみたいな依頼だったんです(笑い)」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ