「首都水没」土屋信行氏

公開日: 更新日:

「洪水が来ると理解して、水とともに暮らす術を身につけていたんですね。そういう知恵が途絶えてしまいました。蛇手川、堀之内、堀切など危険情報を刻み込んだ地名も、忘れられていきました」

 一方、山の手の台地も危険になってきた。道路が舗装され宅地化が進み、土がコンクリートで覆われ、ゲリラ豪雨が降ると下水道から水があふれるからだ。では、どうしたらいいのだろうか。

「行政はハード面で地下道や堤防の整備を進めます。みなさんは、ソフト面で自分の命を守る術を身につけていただきたい。発泡スチロールを枕カバーに入れたもの、空のペットボトルを防災用品に加えれば、浮輪になります。着衣泳も大事です。近所の人と知り合って、いざという時に助け合える地域力をつくっていく。そうやって楽しい東京にしていきましょう」

(文藝春秋 760円)

▽1975年、東京都入都。環状7号、8号線の設計・建設をはじめ、道路、橋梁、下水道、まちづくり、河川事業に従事してきた。現在、土木学会首都圏低平地災害防災検討会座長。ものつくり大学非常勤講師。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

  2. 2
    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

  3. 3
    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

  4. 4
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 5
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  1. 6
    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

  2. 7
    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

  3. 8
    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

  4. 9
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  5. 10
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗