「誰がタブーをつくるのか?」永江朗氏

公開日: 更新日:

「日本は自由の国だ」と、多くの人が思っている。北朝鮮などの報道を見るたびに、報道や言論の自由がないなんてひどい国だと同情することだろう。

「確かに、日本は自由な国です。しかし、その自由は“そこそこ”のもので、意外とタブーが多いことは見落とされがちです。例えば、東日本大震災後しばらくは、2020年の東京オリンピック招致に対して冷ややかな反応を示す人は多かった。ところが開催が決定するやお祭り騒ぎとなって、反対の声は上げにくくなりました。“なんとなく”や“雰囲気”によって、言ってはいけない状況になることが日本にもたくさんあるんです」

 本書では、報道やビジネス、わいせつなどのさまざまなタブーを明らかにしながら、それらと付き合っていく方法について考えていく。例えば、いまだ収束を見ない福島第1原発事故。あの地震が起きるまでは、原発が“危険”という報道はほとんどなかった。

「これは、東京電力が雑誌などに大金を払って広告を出していた“お客さま”だったことで、批判記事が書かれにくかったためです。また、一般の国民の間にも、危機感はあまりなかったはずです。日本人は言霊の存在を信じていて、“爆発するかも”“死ぬかも”などというマイナスの言葉を言うと現実になるのではと考え、なるべく言わない、考えないようにする傾向がある。これも、タブーが生み出される要因のひとつかもしれません」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?