すべての仕事をする人に「プロの姿勢」を教える名著

公開日: 更新日:

■「百田尚樹『殉愛』の真実」角岡伸彦+西岡研介+家鋪渡+宝島「殉愛騒動」取材班・著

 故・やしきたかじんさんを献身的に看病し続けた妻・さくらさんのことを、百田尚樹氏が聖母のごとく描いた「殉愛」は、ベストセラーになったものの、疑惑が多数噴出。「かつてない純愛ノンフィクション」をうたっているものの、さくらさんの証言ばかりが使われ、たかじんさんの長女・H氏や元マネジャーであるK氏らが悪人に仕立て上げられているというものだ。要するに「どこがノンフィクションじゃ、ボケ!」と思われたのである。

 また、さくらさんに重婚疑惑が出たり、百田氏がツイッターで荒ぶる姿もしばしば見られた。揚げ句の果てにはたかじんさんの長女が出版差し止めを求める裁判を起こすなど、書籍の周辺がキナ臭くなったところで百田氏・さくらさんサイドに怒りの海神の三つ又槍を突き刺したのが本書。

「このままではたかじんの名誉も汚される」――とばかりに実力派のノンフィクションライターが、たかじんさんの弟や前妻の証言を引き出し、さらには放送・法曹・出版社・ネットニュースなどの関係者を巻き込み、宝島の編集者が「管制塔」となり一冊の本が誕生した。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方