職業外交官の姿勢が問われている

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「日韓対立の真相」武藤正敏著(悟空出版)

 外務省の韓国語研修のキャリア外交官で、2010~12年に駐韓大使をつとめた武藤正敏氏の回想録だ。韓国におもねるのでもなく、嫌韓に陥るのでもない、バランスのとれた韓国論だ。

 両国の食文化に関する話が興味深い。

〈都内の焼き肉店の主人からよくこんな話を聞かされました。

「韓国から焼き肉の料理人を招くと、在日の料理人と必ず衝突する。韓国から来た人は、自分がつくる料理こそ本場の味だと主張する。日本生まれの料理人は日本人に受ける味は自分がつくる料理のほうであり、ここで商売する以上、日本人の口に合う味を提供すべきだ、と言って聞かない」

 七〇~八〇年代は、それだけ日本人と韓国人では味覚が異なっていたのです。日本人にとって、キムチは辛くて臭い食べ物であり、韓国人にとって日本食は「未知の味」だったのです。

 それがいまや、韓国ではホテルの高級料理店からラーメン、カレー、とんかつ、丼ものなど大衆食堂に至るまで、日本食は幅広い人気を獲得しています〉

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