職業外交官の姿勢が問われている

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 食文化では、日本人と韓国人は、過去30~40年の間に接近しているにもかかわらず、政治的には距離が一層拡大している。その原因の一つが韓国外交の要路に日本専門家がいなくなったからであると武藤氏は見ている。

 それだから、慰安婦問題が紛糾するようになったと武藤氏は考える。

〈当時(引用者注※村山富市政権時代に「アジア女性基金」で慰安婦問題の解決を模索した時期)の韓国当局には担当者に日本通が多く、おかげで日本政府はこのような瀬踏みをして、ぎりぎりの可能性を探ることができたのですが、残念ながら現在の韓国外交部では日本通は主流から外されており、このような水面下の交渉が難しい状況にあります〉

 安倍晋三首相と朴槿惠大統領の波長は合わない。こういうときには、職業外交官が互いに相手国のためにリスクを負いながら歩み寄りを図らなくてはならないのであるが、本書を読むと韓国の外交官にその姿勢が欠如していることがよくわかる。もっとも日本の外務官僚にしても五十歩百歩の違いしかないのだと思う。日韓関係の将来は暗い。

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