「君の膵臓をたべたい」住野よる著

公開日: 更新日:

 人に興味がなく本ばかり読んでいる高校生の<僕>は、盲腸の術後の抜糸のために行った病院で、「共病文庫」と手書きで書かれている一冊の本を拾う。開いてみると、それは膵臓の病気で死が近い人が書いている日々の記録で、その書き手は人気者のクラスメートの山内桜良だった。

 桜良の秘密を知ってしまった<僕>は、今まで全く縁のなかった桜良に秘密を他言しないことを約束させられただけでなく、誘われるままあちこち連れ回される。常に人に囲まれる桜良と孤独で影の薄い<僕>のコンビの奇妙さに、周囲のクラスメートは驚き、ついに<僕>のストーカー説まで出回るほどになる。そして秘密を共有したふたりには、予想していたものとは別の結末が待っていた……。

 著者は、「小説家になろう」という小説投稿サイトで本作が話題となり、異色のデビューを果たした新人作家。衝撃的なタイトルもさることながら、人が人を必要とする意味を読み手に考えさせる温かな読後感が共感を呼び、初版3万部から累計7万部に達した。新人作家の文芸書としては異例のヒットを記録している。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層

  3. 3

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 4

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  5. 5

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  1. 6

    陰謀論もここまで? 美智子上皇后様をめぐりXで怪しい主張相次ぐ

  2. 7

    白木彩奈は“あの頃のガッキー”にも通じる輝きを放つ

  3. 8

    渋野日向子の今季米ツアー獲得賞金「約6933万円」の衝撃…23試合でトップ10入りたった1回

  4. 9

    12.2保険証全面切り替えで「いったん10割負担」が激増! 血税溶かすマイナトラブル“無間地獄”の愚

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?