「武道館」朝井リョウ著

公開日: 更新日:

 幼い頃から歌と踊りが大好きだった愛子は、念願かなって新アイドルグループNEXT YOUのオーディションに合格。高校1年生になった春、武道館のある北の丸公園でデビュー記念イベントを行った。そのとき、センターの杏佳が、いつか武道館でライブをやることを宣言、以来それがメンバー共通の目標となった。

 それから1年、杏佳が突然卒業を表明。5人となったメンバーは、一風変わった握手会、売り上げランキングに入るためのCD販売戦略など、独自のスタイルで人気と知名度を上げ、一歩ずつ夢へ近づいていく。しかし、少し太ると途端に「デブ化により完全終了」とネットに書かれたり、握手券付きのCD販売は「コンセプトキャバクラ」と揶揄される。夢はかなえたいが、ごく普通の恋愛ができなかったり「アイドルはこうあらねばならない」というプレッシャーに、愛子たちメンバーは徐々に違和感を覚え始める……。

「桐島、部活やめるってよ」で現代高校生の心情を鮮烈に描いた著者が、現代アイドルの内面に深く入り込み、悲痛な心の声をすくい取っていく。(文藝春秋 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン