「武道館」朝井リョウ著

公開日: 更新日:

 幼い頃から歌と踊りが大好きだった愛子は、念願かなって新アイドルグループNEXT YOUのオーディションに合格。高校1年生になった春、武道館のある北の丸公園でデビュー記念イベントを行った。そのとき、センターの杏佳が、いつか武道館でライブをやることを宣言、以来それがメンバー共通の目標となった。

 それから1年、杏佳が突然卒業を表明。5人となったメンバーは、一風変わった握手会、売り上げランキングに入るためのCD販売戦略など、独自のスタイルで人気と知名度を上げ、一歩ずつ夢へ近づいていく。しかし、少し太ると途端に「デブ化により完全終了」とネットに書かれたり、握手券付きのCD販売は「コンセプトキャバクラ」と揶揄される。夢はかなえたいが、ごく普通の恋愛ができなかったり「アイドルはこうあらねばならない」というプレッシャーに、愛子たちメンバーは徐々に違和感を覚え始める……。

「桐島、部活やめるってよ」で現代高校生の心情を鮮烈に描いた著者が、現代アイドルの内面に深く入り込み、悲痛な心の声をすくい取っていく。(文藝春秋 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」