「勁草」黒川博行著

公開日: 更新日:

 大阪府警特殊詐欺班の佐竹と湯川は、今日もオレオレ詐欺犯を追っている。

 年配の女が膨らんだトートバッグを肩にかけて、銀行から出てきた。間もなく「受け子」が接触してくるはずだ。茶髪の男とスーツの男が、女のあとをつけている。彼らに間違いない。佐竹と湯川は3人を追尾する。だが、すんでのところで感づかれ、現場を押さえることはできなかった。

 オレオレ詐欺は巧妙な役割分担で被害者から大金を奪い取る組織犯罪。標的のリストを提供する「名簿屋」、カモに電話をかける「掛け子」、金を受け取る「受け子」、携帯電話や架空の銀行口座を用意する「道具屋」、全てを取り仕切っている「金主」。彼らは何くわぬ顔で街に巣くっている。

 佐竹・湯川の刑事コンビと、犯人グループの下っ端、橋岡・八代の2人組の行動が時間軸を追って描かれ、時折交錯する。地を這うような捜査でじりじりと犯人グループを追い詰めていく刑事たち。社会から落ちこぼれ、中途半端に詐欺の片棒をかついで運命を狂わせていく若い男たち。登場人物それぞれに血が通い、捜査方法や詐欺の手口の描写も詳細。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る