「勁草」黒川博行著

公開日: 更新日:

 大阪府警特殊詐欺班の佐竹と湯川は、今日もオレオレ詐欺犯を追っている。

 年配の女が膨らんだトートバッグを肩にかけて、銀行から出てきた。間もなく「受け子」が接触してくるはずだ。茶髪の男とスーツの男が、女のあとをつけている。彼らに間違いない。佐竹と湯川は3人を追尾する。だが、すんでのところで感づかれ、現場を押さえることはできなかった。

 オレオレ詐欺は巧妙な役割分担で被害者から大金を奪い取る組織犯罪。標的のリストを提供する「名簿屋」、カモに電話をかける「掛け子」、金を受け取る「受け子」、携帯電話や架空の銀行口座を用意する「道具屋」、全てを取り仕切っている「金主」。彼らは何くわぬ顔で街に巣くっている。

 佐竹・湯川の刑事コンビと、犯人グループの下っ端、橋岡・八代の2人組の行動が時間軸を追って描かれ、時折交錯する。地を這うような捜査でじりじりと犯人グループを追い詰めていく刑事たち。社会から落ちこぼれ、中途半端に詐欺の片棒をかついで運命を狂わせていく若い男たち。登場人物それぞれに血が通い、捜査方法や詐欺の手口の描写も詳細。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 2

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  3. 3

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    “キムタク効果”見込んだ吉野家の戦略は残念な結果に…ファンの間に沸き起こる「藤田ニコル復帰待望論」

  1. 6

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  2. 7

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  3. 8

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  4. 9

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  5. 10

    維新また猿芝居…国会空転トップ会談で定数削減法案に“白旗”も「今時点で取り下げない」と強がるワケ