「成長戦略」が日本を破壊させると一刀両断

公開日: 更新日:

「新自由主義の自滅」菊池英博著

 体制側になびく経済学者が多いなかで、一貫してアベノミクスをきちんと批判している学者がいる。菊池英博氏だ。私は彼の本が大好きで、ほとんどを読んでいるのだが、普段は日本の経済、財政、金融の分析が中心だ。だが、この本では、韓国、アルゼンチン、ギリシャなどに新自由主義がどのような影響をもたらしたのかを踏まえて、日本経済にいま何が起きているのかを分析している。

 しかも今回は、マクロ経済に限らず、労働や農業、安全保障にまで分析の対象を広げているのだ。

 一番の注目は、著者が日本を破壊すると喝破している5つの政策、すなわち、法人税減税などの財政改革、派遣法改正や高度プロフェッショナル制度導入などの雇用制度改革、混合診療導入などの医療改革、国家戦略特区、そして農協解体を含む農業改革だ。言うまでもなく、これらは安倍総理の掲げる「成長戦略」の重要な柱だ。それを著者は、日本を破壊する活動だと、一刀両断にしているのだ。

 例えば、法人税減税をすれば日本企業の海外流出を抑え、外国企業の国内立地を促進するといわれている。しかし、著者は、それが真っ赤なウソであることを、データを用いて立証している。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾