「成長戦略」が日本を破壊させると一刀両断

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 他の4つも同じように論破するのだが、私が一番興味をひかれたのは農業だ。著者によると、日本の農業は欧州はおろか、米国と比べても保護の度合いが圧倒的に小さい。そして、現在の日本の農業は、きわめて高い生産性を発揮しているというのだ。にわかには信じがたい主張だが、実際に本書に掲げられたデータを見ると納得せざるを得ない。

 こうした分析を積み重ねた結果として、著者が提言しているのが、政府主導による内需拡大政策だ。「なんだ、手垢のついた公共投資拡大政策か」と思われる方もいるかもしれない。しかし、著者の主張は、世界で吹き荒れた新自由主義のもたらした惨禍と日本の財政健全化を見据えたうえでの提言で、工事の利権を欲する人々が訴える公共事業拡大とはまったく異なる。

 本書は、いま世界と日本で何が起きていて、どこに向かおうとしているのかが、一番コンパクトに分かる名著だ。

★★★(選者・森永卓郎)

【連載】週末オススメ本ミシュラン

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