宮城安総
著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

アツイ芸術をクールにまとめる“技”

公開日: 更新日:

「捕われた声は静寂の夢を見る」小泉明郎著

 漆黒のクールビューティー。端正な縦長フォルムに惹かれ思わず手に取る。

 小泉明郎。1976年、前橋生まれ。映像、パフォーマンスを中心に作品を発表。本書は本年3月21日より「アーツ前橋」にて開催された展覧会の公式カタログ。B5変型。並製。PUR製本。奥付にはこれら「造本の仕様」に加え、今どきのはやりか、フォント(書体)名までも明かされている。本明朝、ゴシックMB101、Helvetica Neue LT、DIN Next Slabの4書体。そしてマニアック過ぎるとも思えるこの種の「手の内明かし」はダテではない。その真意は? 本書の立ち位置を含め眺めてみよう。

 Q&A形式の短いインタビューに答えながら「芸術/映像観」をアーティストが語る。「……(映像は)イメージを介して感性に訴え、情動を操作的に揺れ動かすことが得意……」「……パーソナルに掘り下げたものにしか、パブリックにするだけの価値はない……」「(他者を映像に取り入れることで)作品が、人間についてより普遍的に物語るようになった……」。つまり芸術とは、他人を「私事」に巻き込みながら真実を手探り、見る者の気持ちを揺さぶる行為である、と。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    宮城野部屋「永久閉鎖」コースを匂わす元横綱・白鵬、弟子もろとも浅香山部屋への移籍案

    宮城野部屋「永久閉鎖」コースを匂わす元横綱・白鵬、弟子もろとも浅香山部屋への移籍案

  2. 2
    志村けんさん女性関係も堂々と…放送されなかった交際相手

    志村けんさん女性関係も堂々と…放送されなかった交際相手

  3. 3
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 4
    松本人志が裁判の前に問われているのは“遊び方の質”だ…北野武は「せこいよ」とバッサリ

    松本人志が裁判の前に問われているのは“遊び方の質”だ…北野武は「せこいよ」とバッサリ

  5. 5
    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

  1. 6
    大谷翔平は野球だけでなく“新妻の隠し方”も超うまかった 結婚は引退後…の予想を見事に裏切る

    大谷翔平は野球だけでなく“新妻の隠し方”も超うまかった 結婚は引退後…の予想を見事に裏切る

  2. 7
    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

  3. 8
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9
    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

  5. 10
    頬ゲッソリで覇気なし 相撲解説の貴乃花親方“異相”が話題

    頬ゲッソリで覇気なし 相撲解説の貴乃花親方“異相”が話題