著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

容赦ない描写力に思わず“2度見”

公開日: 更新日:

「『MIZO』写真集」大口勝弘著

 タイトルは「溝」、道路脇の側溝の意。基本コンセプトは以下の通り。

「…特殊な方法で撮影…小人が溝の中で写真を撮影しているように…私はこの作品のジャンルをミクロ風景写真と名付けている。」

 A4変型、横開き、上製、かがりとじ。表紙にグロスPP貼り、英文タイトルと著者名を空押し加工。

 本書を開き、作品に視線を移すと、側溝空間ならではの「見上げる」カメラアングルや遠近感が圧巻。構造上、光の回り方も独特。MIZO=半閉鎖空間は「小宇宙」だったのだ。この手があったか! 嫉妬と羨望の思いを抱きつつページをめくる。すると、「撮って出し」の写真にはない、「画面設計」「企図」が仄見えてくる……なぜか? 思わず、1ページに戻って2度見する。

 違和感の大本は、息が詰まるほどの「パンフォーカス」。通常のレンズでは、風景の手前と奥ではピントがズレる。また、レンズの縁に近い部分には「収差」(ボケや歪み)が生じる。だが、本書の場合、どこを切り取っても、ピントが合い収差もほぼゼロ。風景を小分けに「スキャン」したかのようだ。露出もダイナミック・レンジ(明暗域)が異様に広い。結果、ボケやニジミ、トビ、ツブレのない、容赦ない描写力と膨大な情報量を獲得している……。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る