「三河の風」外山滋比古著

公開日: 更新日:

 徳川発祥の地である三河は、明治維新以来、賊軍となって厳しい風にさらされたが、三河の人間はじっと耐えた。寒風に吹かれていると体が意識しなくなる。被害を受けても感じないのは、〈慈悲の無知〉である。だが、維新によって敗者となり苦しんだ人間や地方があることは知ってほしい。三河の人間は意気地なしだからそういうことから目をそらして生きてきたが、力で押しつぶすことができない根性がいつか必ず頭を持ち上げることを、三河の人間は黙って示している。(「吹きざらし」)

 三河出身の著者が、年を取ってふるさとへの鎮魂の思いをつづった一冊。

(展望社 1500円+税)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  2. 2

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 3

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  4. 4

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり

  5. 5

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    「高額療養費制度」見直しに新たな火種…“がん・難病増税”に等しいのに、国家公務員は「負担上限」据え置きの可能性

  3. 8

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  4. 9

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 10

    八潮市の道路陥没事故で爆笑動画…“炎上連発”中町綾を起用したCanCamに《格が落ちた》SNS嘆き