「ヤコブソン・セレクション」ロマン・ヤコブソン著、桑野隆ほか編訳

公開日: 更新日:

 20世紀を代表するロシア出身の言語学者の膨大な著作の中から選りすぐりを編んだ論考集。

「詩人たちを浪費した世代」では、亡くなった畏友で詩人のマヤコフスキイを追悼。故人の実験的な未来派詩人としての顔と、社会風刺の詩人の顔は「中世演劇におけるような喜劇的な面と悲劇的な面」と同じで、なんの矛盾も転向もないと記す。その他、多くの学問分野で応用される「選択」と「結合」などの二項図式を駆使して、言語一般の特徴と失語症との関係を論じた「言語の二つの面と失語症の二つのタイプ」や、幼児の言語音獲得の初期段階にアプローチする「なぜ『ママ』と『パパ』なのか」など11の論文で多岐に及ぶその仕事を概観する。(平凡社 1600円+税)

【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし