「ふる」西加奈子著

公開日: 更新日:

 28歳の花しすは、小さいころから自分の体にまとわりつく白いふわふわとした存在に気づいていた。同居人のさなえや飼い猫など周囲の生き物全てに、そのふわふわはまとわりついているが、みなには見えないようだ。ウェブデザイナーのアシスタントと称しているが、外国物のアダルトビデオの出演者の女性器にモザイクをかけるのが花しすの仕事だ。

 職場の先輩の朝比奈やバイトの黒川との会話、行きつけのパン屋の店員やタクシーの運転手とのやりとりを、密かにICレコーダーに録音している花しすは、眠る前にそれに耳を傾ける。

 花しすの2011年12月19日からの3日間と、これまでの人生が交錯しながら進行する長編小説。(河出書房新社 530円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    マツコが股関節亜脱臼でレギュラー番組欠席…原因はやはりインドアでの“自堕落”な「動かない」生活か

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  1. 6

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  2. 7

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  3. 8

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  4. 9

    「石破おろし」攻防いよいよ本格化…19日に自民選管初会合→総裁選前倒し検討開始も、国民不在は変わらず

  5. 10

    大の里&豊昇龍は“金星の使者”…両横綱の体たらくで出費かさみ相撲協会は戦々恐々