「波羅蜜」藤沢周著

公開日: 更新日:

 葬儀ディレクターの倉木に、ある日、商事会社に勤務する梅谷と名乗る男が接触してきた。梅谷は、倉木に「私の葬式をあげて欲しい」という。梅谷は、倉木が担当の病院から遺体を回してもらうため、看護師の杏子に金を渡し、セックスの相手も務めていることを知っていた。

 男の真意が分からないまま、後日、名刺の番号に電話をかけると、梅谷という男は3カ月前に死んだと教えられる。再び現れた男を問い詰めると、別の人物の名刺を次々と出してくる。梅谷を含め、一流企業に勤める彼らは、いずれも自死したという。自殺をゲームとして楽しむ集まりがあることをにおわせる男は、倉木に自殺ビジネスを持ち掛けてくる。

 生と死のはざまにある「闇」を描く長編小説。(光文社 880円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした