「嘘ですけど、なにか?」木内一裕著

公開日: 更新日:

 主人公は、32歳独身の文芸編集者・水嶋亜希。愛人候補の女の写真を単行本の装丁に使いたいとごねる作家が出現すれば、おだてながらもひどい表紙にならないように上手に誘導し、小説の映画化が流れて嘆く女流作家が現れれば、見てきたような嘘をついて気持ちをおさめるなど、どんなことでも日々嘘をつきながらしのいできた。

 そんな亜希がひょんなことから、外務省の名刺を持つ男・待田隆介と知り合う。珍しく心がときめき、エリート官僚の妻の座が見えたかと思ったのも束の間、あるテロ事件が起きたことをきっかけに、なぜか自分が殺人容疑で指名手配を受ける羽目に。すてきに見えていた待田に対する疑心暗鬼も湧いてくる。果たして亜希の運命は……。

 人気の不良漫画「BE-BOP-HIGHSCHOOL」の作者で、小説家としても活躍している著者の最新作。嘘のうまい女性編集者と、次から次へと打つ手が裏目に出てしまう国家の威信を背負ったエリート官僚とのドタバタ攻防劇が面白い。(講談社 1400円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です