「マラス 暴力に支配される少年たち」工藤律子著

公開日: 更新日:

 米国では、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスの中米3カ国から単独で不法入国しようとする子どもの急増が問題になっている。なぜ子どもが危険を冒してまで国境を越えようとするのか。その背景には、若者のギャング集団・マラスがあった。住んでいた地域を支配するマラスの脅しや暴力から逃れるため、彼らは危険な旅に出ていた。

 もともとストリートチルドレンの問題に取り組んでいた著者は、この実情を知って、実際に中米に足を運んでマラスについて取材しようと決意する。スラム育ちの子どもが、仲間と金と力を求めてマラスに入っていく過程、暴力が激化し犯罪が日常化していく様子、マラスになるか、マラスに脅されて巻き上げられるか、それ以外の生き方がない実情、キリスト教と出合って神父として生きなおすことになった元マラスの青年の証言などが、追い詰められた子どもたちを放置してきた冷酷な大人の姿を映し出す。

 第14回開高健ノンフィクション賞受賞作品。

(集英社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    麻生太郎が「皇室典範」改正を急ぐ理由は…“日本会議の30年の集い”に間に合わせたいから

  2. 2

    福山雅治も結婚後は苦戦…亀梨和也も正念場を迎えている

  3. 3

    佐藤二朗の地上波ドラマはしばらく厳しいが…橋本愛の事態はもっと深刻

  4. 4

    安青錦は「カラダ」より「アタマ」に課題…2ケタ勝利で大関復帰を果たせるか

  5. 5

    小栗旬は「思い入れがない」コメント…福田雄一監督また炎上でも仕事が減らない映画業界のウラ事情

  1. 6

    要潤、玉山鉄二、速水もこみち…40代イケオジ俳優3人の「人生いろいろ」

  2. 7

    高市首相に“もう1つの爆弾”「副首都法案」炸裂の可能性 会期延長なら疑惑追及&身内疲弊のWパンチ

  3. 8

    二宮和也をNHKが起用で音楽特番MCは元嵐まみれに…テレビ局では“ポスト嵐”探しが迷走中

  4. 9

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  5. 10

    引退した東山紀之に錦織一清演出で「少年隊」還暦コンサートのすすめ