「生きるための哲学」岡田尊司著

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 人生の危機に直面したとき、人は正解のない問題に自分なりの答えを出そうとする。その正解のない問いを問うことこそが哲学するという営みだと精神科医の著者はいう。本書は、さまざまな人の試行錯誤の軌跡をたどり、彼らが導きだした「生きるための哲学」を紹介する生き方テキスト。

 著者がまだ精神科医になる前に出会った自殺未遂を繰り返すT氏。母親に認めてもらえず苦しみ抜いた彼の半生に寄り添う。他にも、家庭に安全基地を持つことができなかった作家のヘルマン・ヘッセや、親がかけた「呪い」によって、強迫性障害の症状が出たM子さんなど。「自分らしく生きられない人」や「『絆』に縛られている人」などのケース別に、絶望を乗り越えた人々の物語を紹介する。(河出書房新社 720円+税)

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