「魚と日本人 食と職の経済学」濱田武士著
魚の知識にたけ、客に調理法なども提案する鮮魚店をはじめ、漁師や卸業者、仲買人など。日本の魚食文化を守ってきたこれらの職能を「魚職」と名付け、それぞれの役割や彼らを取り巻く経済環境を解説したテキスト。
魚職が集結し、産地や消費地の情報も集まる水産物卸売市場は、魚食の発信地である。しかし、消費低迷に加え、物流の発展による市場外流通の拡大で、卸売市場の取扱量が減り続け、業者の廃業が続出している。魚離れだけが要因ではない鮮魚店減少の背景をはじめ、善戦する各地の鮮魚専門店やローカルスーパー、産地の水産加工業者、そして漁業の現状を綿密に取材。その課題や彼らの取り組みを検証しながら、魚食と魚職の新たな関係を考察する。(岩波書店 820円+税)