「若旦那道中双六【一】てやんでぇ!」 金子成人著
天保13(1842)年2月、廻船問屋「渡海屋」の次男・巳之吉は、祖父の儀右衛門から、都まで東海道を往復する旅に出るよう命じられる。元から家業を継ぐ気はなく放蕩三昧の日々を送っていた巳之吉だが、前年に跡継ぎの兄が亡くなり、儀右衛門は孫に跡取りとしての自覚を持たせたいようだ。
東海道の一人旅は水杯を交わすほど危険だと耳にしていた巳之吉は応じるつもりはない。しかし、見境ない遊びがたたり、江戸にいられない事情ができてしまったため渋々、旅に出ることに。巳之吉が旅に出て数日後、儀右衛門の元に巳之吉と引き換えに身代金200両を要求する早飛脚が届く。どうやら巳之吉は悪党にかどわかされてしまったようだ。
若旦那の珍道中を描く時代エンターテインメント。(双葉社 611円+税)