「光と影を映す」山田太一著

公開日: 更新日:

 コンピューターなどが普及して便利になったことが人をちょっと孤独にして、ドラマがなくなってきた。

 例えば、昔は「○○駅まで」と言って駅員から切符を買った。そこで著者は、気が弱くて「春日原まで」とどうしても言えずに苦しむ人物を主人公にしたドラマを書いた。今は自動販売機で買えるからドラマは消えてしまった。もしかしたら心を育てたかもしれないものが、制度や技術によって不要となった。便利さは人をのっぺらぼうにしてしまうところがある。愚直だったり無神経だったりして排除されそうな人だけどピュアなものを持っている人をすてきに描きたい。

「時代のたましい」を描いてきた著者が語るドラマ哲学。(PHP研究所 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性