「光と影を映す」山田太一著

公開日: 更新日:

 コンピューターなどが普及して便利になったことが人をちょっと孤独にして、ドラマがなくなってきた。

 例えば、昔は「○○駅まで」と言って駅員から切符を買った。そこで著者は、気が弱くて「春日原まで」とどうしても言えずに苦しむ人物を主人公にしたドラマを書いた。今は自動販売機で買えるからドラマは消えてしまった。もしかしたら心を育てたかもしれないものが、制度や技術によって不要となった。便利さは人をのっぺらぼうにしてしまうところがある。愚直だったり無神経だったりして排除されそうな人だけどピュアなものを持っている人をすてきに描きたい。

「時代のたましい」を描いてきた著者が語るドラマ哲学。(PHP研究所 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動