「貧困と地域」白波瀬達也著
かつて「日雇い労働者」の町のひとつとして知られた大阪・あいりん地区(釜ケ崎)は、長引く不況や高齢化によって、失業及び生活保護受給が進み「福祉の町」へと変容している。劣悪な住環境や社会的孤立、孤独死など、同地区が直面する問題を分析しながら、「貧困の地域集中」とその対策を考察したコミュニティー論。
町の歴史を振り返り、生活困窮者の受け皿として機能した結果、貧困が地域に集中してきた過程を詳述。一方でこうした状況を打破するため、さまざまな担い手が支援活動を続けてきた。2000年以降は、セーフティーネットの強化で応急的な支援から定住化・ホームレス化の予防など、支援も多様化している。同地区の現状から貧困が拡散する日本の課題を考える。(中央公論新社 800円+税)