「魂でもいいから、そばにいて」奥野修司氏

公開日: 更新日:

「突然の別れはつらいものですが、とりわけ津波という不可抗力によって、ましてや遺体が見つからないとなると、その悲しみは計り知れません。心の区切りは決してつかないけど、霊体験をして魂の存在を感じると、亡くなった人がそばにいる感覚になる。そばにいて自分を見ていると感じるから、もうちょっと頑張ろうかと生きる希望につながるんですね。実際、あの体験がなかったら生きていられなかったという人もいました。つまり、死者とのコミュニケーションである霊体験は、最高の癒やしになるんですね」

 自分が納得できる物語が作れたとき、残された人は初めて生きる力を得る。そして、人に語ることでその物語は完成する、と著者は考える。ところが、その物語を体験者の多くは、家族以外に話していない。信じてもらえないと傷つくからだ。

 著者も「本当のことだからね、信じてよ」、あるいは「聞いてもらえてホッとした」と何度となく言われたそうだ。

「悲しみは受け止める人がいて初めて悲しめるんです。一人だとこらえるしかない、ということを取材を通して改めて感じました。不思議な体験を非科学的だと否定するのではなく、悲しみを抱えた人の声に耳を傾ける社会であれば、残された人たちはもう少しラクだったかもしれません」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  5. 5

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  1. 6

    元横綱白鵬が突然告白「皇帝の末裔」に角界一同“苦笑”のワケ…《本当だったらとっくに吹聴しています》

  2. 7

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  3. 8

    阿部巨人の貧打解消策はやっぱり助っ人補強…“ヤングジャイアンツと心中”の覚悟なし

  4. 9

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも