「痛覚のふしぎ」伊藤誠二著
患者が医師に“真っ先に治して欲しい”と訴えるのが痛みだろう。その痛みはどのようなメカニズムで発生し、現在、どのような治療法があるのかをやさしく解説してくれる。著書は関西医科大学医科学講座教授。痛覚には、熱いものを触ったときに反射的に手をひっこめるという単純なパターンの「感覚的側面」と、不安、恐怖、過去の記憶などの影響を受ける「情緒・感情的な側面」の2つがある。鎮痛剤が効かない後者のケースでは認知行動療法が効果を上げることがあるという。痛みに苦しみ、悩む人にとって手に取ってみたい一冊だ。(講談社 920円+税)