介護の負担が軽くなる本特集

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「週末介護」岸本葉子著

 介護によって介護する側の生活が激変すると、負担の重さに介護者がつぶれてしまうという話をよく聞く。ならば、できるだけ生活を変えずに介護ができないか――。

 母が亡くなり、残された父親が認知症になったとき、父と一緒に住む兄の負担が大きくなりすぎていることに気づいた著者は、兄弟持ち回りで介護ができる、家族が出入りしやすい介護用のマンションを用意するというウルトラCを考えた。引き取るのは無理でも、父がいる場所に兄弟交代で入ればそれぞれの生活を守りつつ父親を見守っていけると思ったのだ。

 1年かけて父の居場所となるマンションを探した甲斐あって、平日は兄が父のマンションから出勤、昼間は姉が通い、週末は兄が自分の家に戻って著者が父のところに泊まるというシフト体制が確立。兄弟での費用負担の仕方や、在宅介護する上での住まいのポイントなど、在宅介護を柔軟に考える上で参考になる。(晶文社 1500円+税)

「がんばらない介護」橋中今日子著

 ひとりで頑張らないのが介護でつぶれないコツだと誰もが言うけれど、実際問題、自分ひとりで介護せざるを得なくなる人も少なくない。ギリギリまで頑張った末、介護離職に至るのはこうしたひとり介護のケースが多い。理学療法士として働きながら、認知症の祖母、重度身体障害者の母、知的障害者の弟を次々と介護せざるを得なくなった著者は、必要に迫られて頑張らずに介護するためのノウハウを蓄積していった。

 ①1回ですべてを解決しようとしない②ひとりで解決しようとしない③家族の中だけで解決しようとしない――の3原則を守りつつ、介護疲れや介護離職を防ぐ方法を説く。

 注目すべきは、今年1月に始まった「対象家族の介護のための所定労働時間の短縮等の措置」など、最新の制度情報。これは要介護者がいる人が時短勤務やフレックスタイムなどが選択できる制度で、介護休業制度と組み合わせて利用するとかなり助けられる。

 会社によってサポートの種類が異なるため、今困っている人はさっそく問い合わせてみよう。(ダイヤモンド社 1500円+税)

「『老健』が、親の認知症からあなたを救う!」 山崎宏著

 認知症の親を自宅で介護していたが、もはや限界。どこかに受け入れ先はないものかと探してみたものの、特養は待機者が多すぎて、入れるのは3年から5年先だと言われてしまったし、老人ホームは高すぎて入れられない……。

 もし、あなたがこんなケースに当てはまるなら、ぜひ本書を手に取るべし。本書は、高齢者のついのすみか探しの相談経験を持つ社会福祉士が書いた介護地獄から脱出するための指南書だ。

 著者によれば、老親や配偶者の認知症で困った時に最短で解決するなら、「もの忘れ外来→認知症病棟→老健」のコースだという。一般に老健というと3カ月しかいられないというイメージがあるが、退所勧告のルールによれば治癒の見込みのない認知症の場合、そうしたケースはほとんどないという。入所希望の場合、ダイレクトに老健に申し込みをするという方法よりも、病院からの紹介状が強力な後押しになるため、上記のコースが一番のオススメだとか。

 追いつめられているなら、本書の手順通りに行動したら突破口が開けるかもしれない。(WAVE出版 1300円+税)

「介護のススメ!」三好春樹著

 なぐる、ひっかく、唾を吐く、大声で怒鳴る……。介護の世界で働く人は、どんなに優しく接してみても、介護するには困難な「介護困難老人」に遭遇することが珍しくない。年老いた親がそんな受け入れがたい介護困難老人になり、どう接したらいいのか戸惑ったら、プロの意見を参考にしたい。

 本書は、老人が巻き起こす騒動の陰にどんなメッセージが隠れているのかを読み解いて、解決法を探してきた介護のプロが、老人ケアのコツを紹介したエッセー。

 たとえば、認知症の人が医療を受ける際にあばれないように一時的に手足をしばる身体拘束。介護の現場でやってしまうと不信感を持たれてしまうため、点滴が必要になったときに苦肉の策でボランティアの人にずっと手を握ってもらう方法を考えついた。すると問題行動がピタリと止まっただけでなく、点滴を楽しみにするようになったらしい。

 悲惨な介護になるか、笑顔の介護になるかは、ほんのささいな行動で決まる。現場から生まれた創意工夫がすばらしい。(筑摩書房 820円+税)

「親の介護で自滅しない選択」太田差惠子著

 介護が始まると、次から次へとさまざまな選択肢が浮上する。親が介護サービスは使わないと言ったらどうするか、自宅介護は無理なのに病院から退院勧告を受けたらどうするか、遠距離介護の場合にどう介護するかなどなど、待ったなしの判断になることも少なくない。

 このとき、自滅する選択肢と自滅しない選択肢があり、期間が読めない介護だからこそ自滅しない選択肢を選ぶ必要があると著者は説く。

 介護が始まっている人はもちろん、予備群にも役立つ情報が62収録されているのが特徴だ。たとえば、突然親が入院してしまった際の費用を自分で支払うという選択肢を選ぶよりも、親の同意のもと親の口座からお金をおろせる代理人キャッシュカードをあらかじめ作っておくか、いざというときの介護費用として新しい口座にある程度のお金を入れておいてもらうという選択肢を選ぶ方が自滅しにくいという。

 その時が来る前にできることがたくさんあるため、介護の予習にも役立つ。(日本経済新聞出版社1400円+税)

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