「通勤電車のはなし」佐藤信之著
かつては「痛勤」などと皮肉られた通勤電車の混雑率は、低下傾向にある。それでも満員電車ゼロを公約に掲げた小池都知事の誕生や、大阪の北大阪急行電鉄延伸の構想など、都民・府民の関心は高いようだ。しかし、満員電車ゼロを実現するために運賃が高騰したり、鉄道会社の経営が危うくなっては本末転倒である。では通勤電車はどこまで混雑を緩和すればよいのか。著者は、新聞を広げて楽に読める最大混雑率150%、平均130%が政策的な目標として妥当だと提示する。
東京・大阪の鉄道ネットワーク形成の経緯や現状を紹介する一方、鉄道会社が重ねてきた混雑解消の取り組みを検証。混雑率200%を超える主要路線の問題点と対策まで解説したリポート。(中央公論新社 900円+税)