「嵯峨野花譜」葉室麟著

公開日: 更新日:

 文政13年1月、京都の大覚寺で修行に励む少年僧・胤舜は年若くして活花の名手として評判が高く、大覚寺の花務職に任じられていた師の広甫から、「3日後に、法金剛院に参れ」と告げられた。大覚寺から1里余りのところにあるその古寺に、さる女人が参拝に訪れるから、その方のために花を生けよと言う。3日後に訪ねると、萩尾と名乗る女人は「昔を忘れる花を生けてほしい」との難題を投げかけるのだった。

 そして胤舜がすべてをのみ込み、その難問に応えた活花は、白磁の壺にくっきりと伸びた松の枝と重なり抱き合うような2輪の白椿だった。(「忘れ花」)

 ほかに、亡くなった弟のような花をと求められる「利休の椿」、闇の中で花を生けよという「闇の花」など、次々と出される難題に挑み続ける少年僧の成長物語10短編を収録する。(文藝春秋 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網