「インバウンドの罠」姫田小夏著
安倍政権は「観光立国化」を進めているが、成果が上がっているとは限らない。古民家や工芸品の店が並んでいた高山市は、年間42万人の外国人客が訪れるようになり、どこの観光地にもあるような地元経営でない喫茶店や土産物屋が並ぶようになった。
成功例もある。台湾出身の郭泰源選手の通訳を務めた薛森唐氏は、ホテルマン生活の後、富士山の裾野にある保養所を買った。客室は質素な造りだが、素晴らしい眺望と「贅沢三昧な食べ放題」のホテルにしてアジア客を集めている。その土地を愛する外国人と自治体の協力で「あるべきインバウンドの形」にたどり着いたのだ。
爆買いなどに振り回されないインバウンドを解説。
(時事通信社 1500円+税)