「熊野木遣節」宇江敏勝著

公開日: 更新日:

 1937年、和歌山県田辺市の山中で、移動炭焼きをする父母の長男に生まれ、高卒後、親の元に帰って人里離れた山小屋で暮らしながら創作を続けた異色の作家の民俗伝奇小説集第7巻。

 熊野の山深い八鬼沢の里が舞台。主人公のシナ代は無事に育つよう、魔よけの手だてとしていったん捨て子にする風習に従い、「七はぎの産着」に包まれ拾われるという儀式をへた最後の世代だった。そんな彼女が、いまや3軒しか残っていない集落で過ごした70年にわたる月日のなかで見聞きした出来事を描き出す連作7作品が収録。

 近代化の波が押し寄せ、貴瀬川での丸太流しのときの木遣節の歌声が消え、牛から耕運機に代わり、脱穀機や稲刈り機などがあっという間に普及し村の祭りがなくなっていくさまが悲しくも美しく描かれている。

(新宿書房 2200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    バタバタNHK紅白 高視聴率でも今田美桜、有吉弘行らMC陣は負担増「出演者個々の頑張りに支えられた」

  2. 2

    松山千春がNHK紅白を「エコひいき」とバッサリ!歌手の“持ち時間”に求めた「平等」の正当性を考える

  3. 3

    「将軍 SHOGUN」シーズン2も撮影開始 2026年は柄本明、平岳大ら海外進出する日本人俳優に注目

  4. 4

    ロッテ前監督・吉井理人氏が2023年WBCを語る「大谷とダルのリリーフ登板は準決勝後に決まった」

  5. 5

    菊池風磨のカウコン演出に不満噴出 SNS解禁でSTARTO社の課題はタレントのメンタルケアに

  1. 6

    ロッテ前監督・吉井理人氏が佐々木朗希を語る「“返事もしなかった頃”から間違いなく成長しています」

  2. 7

    矢沢永吉ライブは『永ちゃんコール』禁止で対策も…B'z『客の大熱唱』とも通じる“深刻な悩み”

  3. 8

    《国分太一だけ?》「ウルトラマンDASH」の危険特番が大炎上!日テレスタッフにも問われるコンプライアンス

  4. 9

    巨人オーナーから“至上命令” 阿部監督が背負う「坂本勇人2世育成&抜擢」の重い十字架

  5. 10

    現役女子大生の鈴木京香はキャピキャピ感ゼロだった